高松高等裁判所 昭和24年(控)999号 判決 1949年12月07日
被告人
間崎武重
主文
原判決中被告人関係部分を破棄する。
被告人を罰金五千円に処する。
右罰金を完納することが出來ないときは金百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
押收のフイルム一卷(第一号証)は之を沒收する。
理由
本件控訴理由第二点の要旨は原判決は映写機(サツク付)一基及映写幕(サツク付)を被告人の所有と判示して沒收して居り、被告人も檢察官に対しては自己所有の如く供述して居るが被告人の右供述は誤であつて該映写機は被告人が学校で使用しない時は被告人が使用し得る條件で居村在所村第一國民学校に寄附したもので現在は犯人以外の者に所属して居るから之を被告人の所有と認めたのは誤であつてこの誤認は判決に影響を及ぼすことが明であると謂ふのである。
仍て調査するに弁護人の提出に係る在所村長の証明書に依れば、本件映写機(サツク付)及附属映写幕(サツク付)は元被告人の所有であつたが昭和十六年七月十九日居村在所村第一國民学校に寄附し同村の所有に帰したことが認められるから之を被告人の所有物と認めて沒收した原判決は事実の誤認があり、其の誤認は判決に影響することが明であるから刑事訴訟法第三百八十二條、第三百九十七條、第四百條但書に則り原判決を破棄して更に判決する。